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イランは昨夜、イスラエルに向けて約180発のミサイルを発射し、エルサレムやテルアビブなどで空襲警報が鳴り響いた。ロイターによれば、イスラエルの防空システムや米海軍の艦艇が迎撃に成功したが、ヨルダン川西岸地区で1人が死亡。中東の軍事衝突が拡大する懸念が高まっている。イランは7月末、ハマスの指導者ハニヤ氏が殺害されたことを受けて報復を予告していた。攻撃はハメネイ師の指示であり、革命防衛隊はガザやレバノンへのイスラエル攻撃に対する報復とし、イランのペゼシュキアン大統領は、今回の攻撃はイランの能力の一部に過ぎないと述べた。イスラエルは9月にレバノンのヒズボラ指導者を相次いで殺害し、10月1日には約18年ぶりにレバノン南部への限定的な地上侵攻を開始した。今回の攻撃を受けイスラエルのネタニヤフ首相は報復を予告し、米国も「重大な結果」をイランに警告した。やったらやり返すの応酬合戦が止まらない。
これまでは、イランが間接的にハマスなどのイスラムテロ組織を動かしてテロ攻撃を繰り返していた。直接的な攻撃でも、イランはイスラエルのミサイル防衛システムの能力を考慮し、着弾しにくい形だけの攻撃を行っていた。今回は被害が少なかったとはいえ、イランは極超音速ミサイルを使用し、本格的にイスラエルを挑発した。イランの主張はパレスチナを支援するためというものであるが、パレスチナ民族全てがイスラム原理主義の過激派を支持しているわけではない。イスラエル側の最大の問題は、国際的にもパレスチナの領土と認められているヨルダン川西岸地区での入植地問題である。イスラエルは60万人の入植者を引き上げられないとか、テルアビブなどが一望できる西岸地区の高地から攻撃されやすく危険だという安全保障上の問題を挙げているが、これらは占拠の理由にはならない。これを認めてしまうと、ロシアのウクライナ侵攻など力による現状変更を許すことになる。パレスチナにテロを抑える治安力がないのなら、世界がパレスチナとガザに入りテロ討伐を引き受ける代わりに、イスラエルが入植者を引き上げなければ、いつまでもイランなど独裁国家にテロ支援の口実を与えることになり、報復という名の民間人殺戮の連鎖が断ち切れない。