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自民党の舞立昇治参院議員は、石破茂首相による商品券配布について「歴代首相が慣例として行ってきた」と述べた。鳥取市で開かれた党会合で、夏の参院選対応を協議する中での発言である。舞立氏は「想像以上にお騒がせしている」と謝罪しつつ、現代の物価高や経済情勢を踏まえ、「一般常識とかけ離れている」との指摘を真摯に受け止めるべきだと語った。法的問題はないとしながらも、道義的問題については「言い返せない」と認めた。県連幹事長の斉木正一氏は、この商品券配布について「考えられない感覚だ」と批判した。舞立氏は鳥取・島根選挙区選出であり、夏の参院選では比例代表の「特定枠」で擁立が決定している。「特定枠」とは、公職選挙法で特定の候補者を優先的に当選させるために設けられた制度であり、参議院選挙において「合区」の影響で議席を失う地方の代表候補者が、政党の一定の得票をもって当選が保証される仕組みだ。要するに、舞立氏自身は落選の可能性が低いため、歴代総理の行為を「遺憾」と批判するポジショントークを展開したというわけだ。しかし、本当に発言すべきことはそこではない。国民が物価高や実質可処分所得の減少に苦しんでいるというのであれば、政府は過剰に徴収した税を減税という形で国民に還元すべきと言うべきだ。
確かに、歴代総理が新人議員に10万円の商品券を配布していたことが慣習であったとしても、年収4000万円の国会議員に商品券を配る感覚は異常だ。しかし、国会で真剣に議論すべきは、こうした些末な問題ではなく、減税の実施やガソリン税の暫定税率廃止、食品の消費税撤廃、再エネ賦課金の廃止といった政策課題である。野党はこの問題を内閣退陣の好機と捉えているように見えるが、実際には石破政権のままのほうが参院選を戦いやすいという思惑もあり、真剣に倒閣を目指しているわけではない。ただ騒ぎ立て、国民の関心を集めようとしているだけだ。もし本気で政権を倒したいのなら、内閣不信任案を提出すれば済む話だ。しかし、野党議員の多くは5か月前に当選したばかりであり、またすぐに選挙となることを避けたいという思惑が透けて見える。本当に重要な課題を、スキャンダルや政局の駆け引きで覆い隠すような政治を、いつまで続けるつもりなのか。国民のために、もっと真剣に議論してほしい。