脳の自浄機能と認知症
2025-05-30


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叔母の葬儀に行った。長い間施設で暮らしていたため、ほとんど会うことはなかったが、祖母と同じ顔をして静かに眠っていた。会えなかったのは、認知症のために亡くなった父と顔が似ている自分が面会すると、叔母が大混乱を起こすので、施設側から面会を控えてほしいと要請されたためである。父は亡くなる前、よく行方不明になり、家族に迷惑をかけ、最終的には認知症で施設暮らしになった。叔母の場合は、早い時期から「盗難にあった」と騒ぐことがよくあった。そういえば、祖母も孫が来ているのに「何を盗りに来たのか」と訝しむことがよくあった。叔父も父の葬儀のあと、「手切れ金だ」と言って金を渡してきた。おそらく、甥である自分から何か物心を奪われるのではと不安になったのだろう。症状は様々だが、父方の家系は相手の気持ちが読みづらい気質に加え、老齢期には認知症が重なる傾向があるようだ。自分にも思い当たる節がある。

認知症は日本の超高齢社会において深刻な問題であり、65歳以上の5人に1人が発症すると予測されている。しかし、加齢だけが認知症の原因ではなく、最大の要因は「脳のゴミ」と呼ばれる老廃物の蓄積である。特にアルツハイマー型認知症では、アミロイドβというたんぱく質が脳内に蓄積し、続いてタウたんぱく質の異常が発生することで神経細胞が死滅し、記憶障害や判断力の低下などの症状が現れる。レビー小体型認知症では、αシヌクレインというたんぱく質が蓄積し、幻視や運動障害を引き起こす。前頭側頭型認知症では、前頭葉や側頭葉の萎縮とともに特定のたんぱく質が異常に蓄積し、性格や社会的行動の変化が初期症状として現れる。なお、血管性認知症は脳梗塞や脳出血が主な原因であり、「脳のゴミ」とは直接関係しない。

脳の老廃物は発症の20〜30年前から蓄積が始まり、その排出には「グリンパティックシステム」と呼ばれる脳の自浄機能が重要である。このシステムは深い睡眠中に最も活発に働き、脳脊髄液の循環を促進してアミロイドβなどの老廃物を洗い流す。しかし、睡眠不足や質の悪い睡眠、ストレス、免疫力の低下、不適切な食事などがこの機能を低下させ、脳のゴミの蓄積を促進するという。認知症予防のためには、質の高い睡眠を確保することが不可欠であり、起床時間を守って体内時計を整え、朝起きてすぐに光を浴びること、日中の適度な運動、午後のカフェイン摂取を控えること、就寝前の強い光を避けること、快適な睡眠環境の維持、就寝3時間前からの食事制限、そして毎晩同じルーティンを行うことが推奨される。認知症の主な原因である「脳のゴミ」の蓄積を防ぐには、日々の生活習慣の見直しと質の良い睡眠の維持が最も重要であるとされる。しかし自分の生活を振り返ると、PCによる夜更かし、朝寝坊、運動不足と、脳の自浄機能を阻害することばかりして定年期を過ごしている。DNAの呪縛には歯向かえぬとは言え、加速させてどうするのか。「やばいやばい」と思いながら布団に入った。
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